血統の基礎

血統講座

競馬は「ブラッドスポーツ」とも呼ばれるように、生産に携わる関係者にとってはもちろんのこと、競馬予想にも有効なファクターである「血統」は、ファンにも重要なものです。

ただ、血統と言われると競馬初心者には難しそうなイメージがあるかもしれません。確かに、血統は奥が深い(深すぎる)ので、極めようとすればマニアでないと難しい。(褒め言葉です)

しかし、入口はそれほど難しいものではなく、血の繋がりがドラマを生むシーンは多々あり、初心者でも血統を知ることで一層競馬の魅力を感じることが出来るでしょう。

血統に興味を持ったきっかけ

私が血統に興味を持ったのは、ディープインパクトが凱旋門賞で敗れたことがきっかけです。それまでは、ゲームのダービースタリオンで種牡馬名などはよく知っていましたが、実際の競馬でどれだけ影響があるかなどは考えていませんでした。

日本での圧倒的な走りから、相手が欧州最強馬ハリケーンランでも、ディープインパクトなら凱旋門賞を勝てると信じていました。

が、結果はご存知の通り。

日本で見せた剛脚は鳴りを潜め、牝馬にまで差されるという衝撃の敗戦。ディープのベストパフォーマンスではなかったにせよ、世界の競馬レベルはこんなにも高いのかと痛感します。

しかし、その後にある予想家が、「ディープインパクトは凱旋門賞で99%負ける!!」、「勝つのは3歳馬レイルリンクだ!!」と戦前から公言していたことを知り、それが今ではメディアに引っ張りだこ(?)の亀谷敬正さんだったのです。

ディープが負けるどころか、勝ち馬まで言い当てたこの人は何者なのか…ということが、私が血統にハマった始まりです。つまり、このブログに書いてあることの大半は亀谷さんの受け売りなのです。(なるべく自分の言葉にしてお伝えします…)

競馬の才能は一つではない

常々、亀谷さんが言われるのがこの言葉。

競馬で問われる能力の方向性は一定ではなく、スピード・スタミナ・瞬発力・パワーなど、様々な才能があり、ある部分が秀でていれば、他の部分が劣ります。

凱旋門賞で非常に分かりやすかった表現が、ディープインパクトの切れ味はジャンケンのチョキのようなもので、ディープインパクトはチョキの才能に秀で過ぎているとのことでした。

凱旋門賞で求められる才能は、重厚なスタミナを必要とするグーの要素。チョキに秀でるディープインパクトは、いつも欧州で走る馬に比べてグーの要素が劣るため、凱旋門賞では勝てない…というお話です。

逆に、凱旋門賞を制した世界トップレベルの馬でさえ、日本のジャパンカップは勝てなかった理由もこれで納得できます。もしかすると、日本では重賞で善戦できるレベルの馬が、凱旋門賞で高い適性を見せるのかもしれませんね。

血統の基礎知識

まずは血統を知るために、最低限覚えておきたい用語を紹介します。

種牡馬(しゅぼば)

種牡馬とは繁殖用の牡馬(オス)のことで、サイアーとも呼ばれます。仔の能力に最も影響を与えやすいのが種牡馬で、父の現役時代の特徴を引き継ぐ産駒(子供)もよく見られます。

そのため、基本的には現役時代に実績を残さなければ種牡馬となることができません。成績は芳しくなくても、血統背景が一流なら種牡馬となる可能性もあります。そう考えると、やはり血統がいかに重要かが分かりますね。

その年の種牡馬(の獲得賞金)ランキングで1位になった馬は「リーディングサイアー」と呼び、近年は日本が誇る名馬ディープインパクトが絶対王者として君臨していましたが、2019年に永眠。

その前月にはディープインパクトに次ぐ成績を収めていたキングカメハメハも亡くなっており、今後の競馬界に大きな影響が出ることは間違いないでしょう。

繁殖牝馬(はんしょくひんば)

繁殖牝馬とは繁殖用の牝馬(メス)のことで、肌馬(はだうま)とも呼ばれます。

種牡馬は1年に何頭も種付けを行いますが、繁殖牝馬は1年に1頭しか仔を産めないので現役時代の成績に関係なく繁殖に上がります。良血の繁殖牝馬には良血の種牡馬が交配されることが多く、そうして名馬の血が脈々と受け継がれます。

母父(ははちち)

母なんか父なんかどっちやねん!と思いましたか?母父とは「母親の父親」のことで、ブルードメア・サイアー(BMS)とも呼ばれます。

仔馬の特徴には父が最も影響を与えますが、父よりも母父の影響が強く出る馬もいます。一般的に母系はスタミナを伝えると言われることが多いですが、真相は不明です。

現在の日本競馬ではスピードが重要になります。そのため、スタミナが豊富な種牡馬は成功しにくいですが、母父となればそのスタミナが産駒の底力となり大成することも多いです。

競馬予想でも父・母父・母の母父くらいまでは見ることが多いですね。

サイアーライン・ファミリーライン

サイアーラインとは父の家系(父系)のことを指し、ファミリーラインは母系を指します。一般的にはあまり使われる言葉ではないですね。

血統ではよく〇〇系統という言葉が使われますが、これは歴史的に競馬で強い影響力を与えてきた種牡馬の系統を指します。

例えば、日本競馬では1990年代中盤に、サンデーサイレンスという種牡馬が日本競馬を一変させるほどの影響を与えました。

そのため、サンデーサイレンスの血を引く馬をサンデー(サイレンス)系と呼びます。サンデーサイレンス自身は先祖がヘイルトゥリーズンという名種牡馬で、ヘイルトゥリーズン系に分類されていました。

つまり、サンデーの血を引く馬をヘイルトゥリーズン系と呼ぶのも間違いではなく、それだと数が多くなりすぎるため、ヘイルトゥリーズンからサンデーサイレンスを経由した馬をサンデー系とまとめる…ということですね。

ただし、厳密な分類が定められているわけではないので、人によってどの先祖で分類するかは違いがあったりします。その分類によっても予想に違いが出てくるのも面白いところではないでしょうか。

これらの系統はサイアーライン・ファミリーラインとは意味合いが違います。少しややこしいかも知れませんが、後ほど説明していきます。

インブリード

インブリードとは、父系と母系に同じ祖先がいる「近親配合」のことです。クロスとも呼ばれ、インブリードはその馬の特徴が強く出やすいと言われています。

インブリードの世代が古くなるほど影響力は薄くなり、一般的には3~5代前の先祖が同じ場合にインブリードの影響を考慮されます。逆に2代前となると、血が濃くなり過ぎるために体質が弱くなることも。

インブリードは「ノーザンダンサーの3×4」などと表現されます。この場合、父系の3代前・母系の4代前にノーザンダンサーという種牡馬が存在することになります。後ほど血統表でご覧いただきます。

アウトブリード

アウトブリードとは同じ祖先がいない「異形配合」のことで、インブリードに比べて健康で丈夫な仔が産まれやすいとされています。

ニックス

ニックスとは「父系と母系の相性が良い配合」を指します。厳密に決まった配合ということではなく、活躍馬が出やすい配合を結果的にニックスと考えることが多いです。

近年で有名なのが、父ディープインパクト×母父ストームキャットという配合や、父ステイゴールド×母父メジロマックイーンの配合に活躍馬が多く、ニックスと呼ばれます。

時代によってニックスの対象は変わってきますし、どこまで影響があるのかも分かりづらいところですね。

兄・姉・弟・妹

競馬で兄弟と呼ぶのは、同じ母親から産まれた馬に限られます。

種牡馬は多いときは年に100頭以上の種付けを行うので、それを兄弟とすると兄弟だらけになってしまいますからね。父が同じなら全兄弟、父が違う場合は半兄弟と呼ばれます。

ディープインパクトは父サンデーサイレンス・母ウインドインハーヘアという血統で、同じ父の兄にはブラックタイド、オンファイア。父が違う弟にニュービギニングがいます。

ブラックタイドとオンファイアは全兄弟、ニュービギニングは半兄弟です。

血統表の見方

ここではキタサンブラックという馬の血統表を参考に見ていきます。

ブラックタイド血統表

青背景は種牡馬名・赤背景が繁殖牝馬名です。

これを見ながら先ほどの基礎知識と照らし合わせていきましょう。

父・母・母父

父はブラックタイド、母はシュガーハート、母父はサクラバクシンオーです。

キタサンブラックの系統は、父が大系統サンデーサイレンス系・母父が大系統ナスルーラ系。大系統とは血統を大まかに分類したもので、さらに細かく分類した小系統では、父Lサンデー系・母父プリンスリーギフト系となります。

この〇〇系はサイアーラインやファミリーラインとは別の意味の、各馬を分類するために使うための括りとなります。

サンデーサイレンス系の特徴
大系統サンデーサイレンス系サンデーサイレンスは1988年に米国でデビューし、翌年にはアメリカ三冠レースのうち、ケンタッキーダービー・プリークネスステークスを制した名馬。その後もブリーダーズカップを制するなど、一流の競走成績を残しま...
ナスルーラ系の特徴
大系統ナスルーラ系ナスルーラは1950年代、英国と米国で種牡馬として活躍。さらにはその子孫も種牡馬として次々と成功を収め、70年代まで世界で最も繁栄していた系統です。ノーザンダンサー系と同様に様々な特徴を持つ種牡馬に分かれ、主に日本(スピー

サイアーライン・ファミリーライン

ブラックタイドから枝分かれしている系統がサイアーライン、シュガーハートから枝分かれしているのがファミリーラインです。

大系統などの分類とは違い、父全体の先祖・母全体の先祖を指す意味で使われていますが、実際に聞く機会はほとんどないと思うので、ややこしければスルーしても問題ないところですね。

インブリード・アウトブリード・ニックス

キタサンブラックは4代目の父系と母系に「Lyphard(リファール)」という種牡馬がいるので、Lypardの4×4のインブリードが発生しています。

そのため、キタサンブラックの配合はアウトブリードではありません。また、父サンデー系×母父プリンスリーギフト系の組み合わせは、現状ではニックスと考えれてはいませんね。

兄・姉・弟・妹

キタサンブラックには兄にショウナンバッハ、アークペガサスという馬がいますが、どちらも父が違うため半兄弟ということになります。

まとめ

血統の基礎知識としてはこれくらい覚えておけば大丈夫でしょう。まぁ血統を競馬予想に活かすとなると、これらの知識はそれほど重要ではないですけどね。

予想に活かすには、各系統ごとの特徴を知る必要があるので、まずは父と母父がどの系統に分類されるのかを知る必要があります。最初から全てを覚えようとすると難しいですが、まずは数頭の馬から特徴を把握していくことで、徐々に覚えていけばいいと思います。

亀谷さんがよく言われる言葉に「競馬は一頭の種牡馬を覚えるだけで勝てる」という格言がありますが、中途半端に覚えるよりは効果的なのは間違いないでしょう。


血統の大系統を解説しています。

血統の大系統分類
競馬では様々な条件でレースが行われますが、それぞれの適性を見抜くには「血統」が大きな手助けとなるため、予想のファクターとして効果的です。血統によって得意な条件・苦手な条件が影響されやすく、種牡馬ごとに特徴を掴めば穴馬を仕留められる...

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